鶏跛について
こんにちは。
春のG1ウィークが続き、資金が底をつきかけている
2年目のHTです。
さて、最近治療中の馬でこんな歩様をしている子がいます。

左後肢に比べ、右後肢のステップを高く踏んでいます。
「後ろ脚が急にガクッと上がる」「蹴り上げるように歩く」
この特徴的な歩様異常は、日本では一般的に「鶏跛(けいは)」や「トリアシ」と呼ばれます。
英語では Stringhalt(ストリングホルト) と呼ばれ、後肢が過剰に屈曲する神経・運動器疾患として知られています。
2024年にジャパンカップに参戦した、ドイツ産馬のゴリアットもこんな歩き方でしたね。
◯鶏跛とは
鶏跛は、主に後肢を異常に高く引き上げる歩様異常です。
正常な屈曲ではなく、
「カクッ」「ビクッ」と急激に跳ね上がるのが特徴で、
重症例では腹部近くまで脚を引き上げることもあります。
◯原因
実は、鶏跛には「完全には解明されていない部分」もあります。
大きく分けると、以下の2タイプがあります。
① 単発性
片側性が多く、原因不明のこともあります。
考えられている要因は
- 外傷
- 神経障害
- 後肢の慢性炎症
- 坐骨神経周囲の異常
など。
② 地方病性
複数頭で発生するタイプ。
特定の雑草を食べた後に集団発生することが知られており、
特に有名なのが
- Flatweed(ブタナ)
- Dandelion(タンポポ)
などの近縁種。
神経毒性が関与すると考えられています。
◯メカニズム
主に問題となるのは、
- 外側趾伸筋
- 長趾伸筋
- それらを支配する神経
の異常です。
「脚を前に出す神経・筋肉の制御がうまくいかず、過剰反応してしまう」
イメージです。
◯治療法
日高診療所では「フェニトイン」を漸減投与する治療方法を選択しています。
フェニトインはもともと人医療で使われる抗てんかん薬ですが、
馬の鶏脚では神経の過剰興奮を抑える目的で使用されることがあります。
最初は10mg/kgを1回/day投与で様子を見つつ、
問題なければ2回/dayを一週間継続、
その後は7.5mg/kg、5mg/kg、2.5mg/kgと段階的に減らして投与していきます。
そのほか、重度症例に対しては
外側趾伸筋腱切除術 という
腱を外科的に切離する処置も選択肢に入ります。
◯まとめ
鶏跛は、
「後肢が異常に跳ね上がる特徴的な歩様異常」
です。
原因はさまざまで、神経・筋肉の異常が関与すると考えられています。
ゴリアットのような活躍馬もいるように、必ずしも治療を要するものではなく、
フェニトインで治療しても再発する馬もいるため
獣医師として頭を悩ませる疾患の一つです。
HT