馬のおやつ
こんにちは。名古屋もだいぶ涼しくなりました。
1年のうちで大変貴重な過ごしやすい季節です。
今回は「馬のおやつ」について少しお話をしたいと思います。
馬は基本的に下記の飼料をバランスよく与えます。
特に競走馬や競技場は運動量や体重などに対して適切な量を与えなければなりません。
・粗飼料(牧草、サイレージなど)
・濃厚飼料(燕麦、フスマ、トウモロコシなど)
・補助飼料(油、大豆など)
・添加飼料(塩、サプリメントなど)
これらの飼料はそれぞれ重要な栄養素を補っておりそれぞれの栄養素にも役割があるのですが、
その話はまた別の回にしたいと思います。
アスリートたる馬でもたまにはおやつを食べることもあります。
馬のおやつで一番有名なものいえば当然「にんじん」ですが、
りんごや氷砂糖などをあげているところを見たことがある人もいるのではないでしょうか。
私はにんじん、りんご、角砂糖以外にもバナナや桃、さらにはマスカットなんてものをあげているところを見たことがあります(羨ましい)。

馬にもそれぞれ好き嫌いはあり、りんごやバナナなど食べる馬と食べない馬がいます。
また「馬=にんじん」のイメージが強いため、馬はみんなにんじん大好き!と思いがちですが、
競走馬の中には決められた飼料をずっと食べており
生まれてこの方にんじんを食べたことがない馬もおり、
初めてにんじんを目にすると食べ物と認識せずに食べてくれないこともあります。
しかしそこはさすがにんじんといいますか、一度味を覚えるとほとんどの馬はにんじんが好きになる印象です。
喜んで食べている馬の様子を見ているといろいろなおやつを与えたくなりますが、
馬も犬や猫と同様に与えてはいけないものがあります。
・チョコレート
原料であるカカオに含まれるアルカロイドの一種であるテオブロミンは、馬や犬には有毒とされています。消化不良や脱水、過度の興奮、心拍数の低下、重症例では発作から死に至るとされています。また、テオブロミンは競馬を含め馬術競技において使用が禁止されている薬物です。
・トマト
トマトが属するナス科植物には馬や犬猫に毒性を示すある種のアルカロイドが含まれ、馬では中毒量を摂取すると疝痛や下痢を発症するとされています。
・ブロッコリー、カリフラワー
アブラナ科植物は、馬が食べると消化管内でガスを発生しやすく疝痛の原因となる場合があります。
・ニンニク、タマネギなど
ニンニクやタマネギにはN-プロピルディサルフィドと呼ばれる物質が含まれ、この物質はハインツ小体貧血と呼ばれる貧血を引き起こします。この毒性反応は動物種によって異なり、ヒトでは問題なく食されている一方で、犬のタマネギ中毒は深刻です。馬ではスタミナ増強効果を期待してニンニク給与を行った事例もあります。一方で海外では野生タマネギを放牧地で摂取したことによるハインツ小体貧血発症例があるようです。
このようにヒトは食べることができても犬猫・馬は食べられないもの、
犬猫は食べられても馬は食べられないもの、馬は食べられても犬猫は食べられないものと
動物種によって食べられる食べられないは様々です。
また上記のニンニクのように少量は大丈夫でも多量に摂取すれば体に害を及ぼすものもあります。
馬用の飼料以外を与える時は必ず馬にとって安全か確認し、
食べられるものだとしても「おやつ」なので少量にしておくのが良さそうです。
MK