
骨盤骨折について
こんにちは。
最近ライジング(自社牧場)近くでも、ホタルを見ることができ、
どんどん夏が近づいてきていることを実感しています。
さて、今日は骨盤骨折ついて書いていきたいと思います。
骨盤骨折は、主に腸骨、恥骨、坐骨の骨折を指します。

(カラーアトラス 獣医解剖学 上巻 p245 図4-7より)
転倒事故や衝突などの外傷性に起きやすいとされています。
骨盤体部の骨折では、後肢の不負重性跛行を呈し、
寛結節の骨折では、軽度〜中程度の跛行を呈します。
骨盤骨折後、早くて数日後には筋肉の萎縮がみられます。
また骨折箇所により筋肉が萎縮していく箇所は異なります。
診断については、
主にレントゲン検査やエコー検査で行われます。
直腸検査によって(後駆を左右に揺らしたり、歩かせながら)、
捻髪音や、異常可動や腸骨内面・恥骨前縁の変形を触知できることで、
診断できることもあるそうです。
その中でもエコー検査では、
骨表面の連続性や仮骨形成による変形を調べることができます。
栗東周辺での骨折箇所の異なる骨盤骨折の症例を3件ご紹介します。
・腸骨翼骨折

右臀部の筋肉は萎縮が顕著で、
捻髪音が寛結節付近で触知できました。
エコー検査で、腸骨翼尾側辺縁に骨ラインの不整がみられます。
・寛骨臼骨折

左臀部の筋肉の萎縮が顕著で、
エコー検査で、左寛骨臼背側に骨片様の高エコー像がみられます。
・坐骨骨折の馬の場合

左半腱半膜様筋の萎縮が顕著で、
エコー検査で、左坐骨結節ラインの不連続性がみられます。
エコー検査では、骨盤骨折の確定診断として、全部を網羅できる訳ではありませんが、
視診、触診と合わせて診断していくことは可能です。
骨盤は様々な骨で、構築されているため
頭の中で、解剖学的な骨の構造をイメージして、
検査に挑むことがとても重要です。
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