
第3手根骨の骨硬化
最近、腕節のレントゲン撮影をする機会が多く、第3手根骨の骨硬化像がみられました。
骨硬化とは、既存の骨梁表面へ新たな骨増生がされ、骨梁間の骨髄腔が減少することで、体重や運動負荷の増加によって起こります。

レントゲン写真ではX線不透過性が亢進し、白く写ります(矢印)。

縦方向にも骨硬化が見られる場合もあります(矢印)。
サラブレッドやスタンダードブレッド競走馬では、第3手根骨のX線不透過性の亢進はよく見られる所見とされています。
跛行のない競走馬でも約半数に硬化症が認められたと報告されています。
一方、手根関節の跛行と診断されたサラブレッド競走馬において、第3手根骨硬化症が約9割に見られたとも報告されており、
重度の硬化症と診断された馬は、トレーニングのどこかの時点で手根関節の跛行を発症する可能性が高いという報告もあります。
また、硬化した骨は粘り気が少ないため脆くなり、力学的負荷が周囲に分散しにくく骨折しやすいと考えられています。
第3手根骨の骨硬化は、運動への適応で起こりますが、骨折などの疾患の徴候でもあると考えられています。
参考文献:
・Sclerosis of the Third Carpal Bone. A Prospective Study of its Significance in a Group of Young Standardbred Trotters. (H. Uhlhorn et.al., Acta vet. scand. 2000, 41, 51-61.)
・Radiographic evaluation of sclerosis of the third carpal bone associated with exercise and the development of lameness in Standardbred racehorses. (B J Hopper et.ai., Equine Vet J. 2004 Jul;36(5):441-6.)
・競走馬の骨組織と骨疾患 その4(吉原豊彦, BTCニュース, 第74号, 10-15.)

トレーニングセールが終了し、1歳市場のレポジトリー撮影が始まります。
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