よだれを垂らす馬

よだれを垂らす馬

こんにちは。


たびたび「よだれを垂らしている」といった稟告で診察に行くことがあります。



ひとくちに「よだれ」といっても

血や草が混じっていたり、ねばねばで粘稠性だったり水っぽくてさらさらだったり、、、

色や量など様々で、それによって考えられる原因が異なってきます。


そのうち食渣が混じったよだれを流して咳をしたり、鼻からも同様の食渣を交じた液体が逆流している場合は「食道閉塞」を疑います。


「食道閉塞」は「のどづまり」とも言われ、食道に食物が詰まることで発症します。

通常、経鼻カテーテルや首のマッサージなどで閉塞を解除し治療します。

内科治療で良化しますが、食道が傷ついている可能性があるので、食事の再開には大変注意が必要です。


他にも、なんらかの原因で嚥下が困難な場合、よだれが多くなることがあります。

これまで、歯がとがりすぎて舌にびらんができている馬や、
壊れた馬房の金網が舌に刺さってしまった馬で
よだれを流していることがありました。



また、放牧されている馬でよだれを垂らすような症状がみられる場合は、
カビが生えたクローバーを食べることによる中毒症状が原因となることがあるそうです。


すこし珍しい症例だとよだれを主訴で診察した馬で、
顔がパンパンに腫れて口を閉じることができず、よだれを垂らしている馬がいました。



その馬の鼻に2か所出血がみられたこと、
馬が繋留されていた場所が山に近い場所だったこと、
症状が出た時期から、
「マムシに嚙まれたのだろう」と推測されました。


ジャパンスネークセンターの方に問い合わせたところ、
犬や猫でよくマムシに噛まれることがあるが、3日程度で腫れは引いていくとのことでした。

あまり馬の症例はきいたことはないとも話されていました。


その症例も対症療法を実施し、3日後には顔の腫れが徐々にひいていきました。



このように馬がよだれを流していたら、

さまざまな原因が考えられますので、すぐに獣医師に相談してください。


NM

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