
馬のサラピン
はじめまして。春に入社した一年目のHTと申します。
よろしくお願いいたします(- -)
皆さんは「サラピン」をご存知でしょうか。


上記写真のように飛節が腫れた馬がいます(矢印)。
飛節の腫脹を特徴とする疾患は、滑膜炎、感染性関節炎、飛節軟腫、飛端腫など様々あります。
今回の症例は非炎症性、無跛行、無疼痛であり、触診により腫脹部が内外側で連絡している(指で押すと反対側に液が伝わる)ため、足根鞘の特発性腱鞘炎(サラピン、Throughpin)だと類症判別します。

足根鞘は深屈腱の腱鞘で、踵骨の戴距突起の上に存在します。
軽度の深屈腱炎に起因し、腱鞘液の過剰分泌が原因でこのような外貌を示します。
多くの場合、治療が必要な臨床症状を呈する疾患ではなく、この症例に対する診療も自然退縮を見据えた経過観察にとどまります。
しかし、同様の外貌を示す他の疾患(例えば深屈健の脱臼)では最悪の場合予後不良となるケースも考えられるため、類症判別は非常に重要です。
(参考文献:Diagnostic imaging of the equine tarsal region using radiography and ultrasonography. Part 1: The soft tissues, Katrien Vanderperren et.al, The Veterinary Journal Volume 179, Issue 2, February 2009, Pages 179-187)
最近初任給でサラピンのスニーカーを買いました。
HT