続・馬インフルエンザ(ワクチンについて)

続・馬インフルエンザ(ワクチンについて)

先週のO先生に引き続き、今週も馬インフルエンザのお話です。

私達ヒトでは度々流行する季節性インフルエンザの予防のためにワクチン接種する方もいるかと思いますが、インフルエンザウイルスは抗原変異が起こりやすいため、ヒトでは毎年流行予測を行いワクチン株を選定・決定してワクチンが製造されています。ワクチン株は、WHOの推奨株を参考に、厚労省(もしくは企業)が製造株を決定するという流れで決まります。

一方馬のインフルエンザに対して、
ワクチンはヒトのような頻度で株の変更は行われていないようですが、毎年確認・検討がされており、前回2007~2008年の馬インフルエンザの流行後には株の変更がされたそうです。ワクチン株は、WOAH(国際獣疫事務局)の推奨株を参考に、農水省の動物医薬品検査所に設置されている動物用インフルエンザワクチン国内製造用株選定委員会という機関で株の選定・決定が行われます。

現在日本で販売されている馬インフルエンザワクチンは、フロリダ亜系統クレード1のA/equine/Ibaraki/1/2007株 と フロリダ亜系統クレード2のA/equine/Yokohama/aq13/2010株の2つが含まれる2価ワクチンです。

そして日本国内の競走馬に対しては、軽種馬防疫協議会が推奨する接種プログラムに従って、ワクチン接種が実施されています。

*参考:「馬の感染症(第5版 増補版)」中央畜産会、馬インフルワクチン・3種混合ワクチン「KMB」添付文書、動物医薬品検査所HP、軽種馬防疫協議会HP、厚生労働省HP。

普段の臨床現場ではあまり意識しない部分も含めて、平時からインフルエンザの流行に対して対応が行われることの意義・重要性を改めて認識するとともに、それでも流行が起きてしまうことに対してウイルスの強さを実感します。

今回まだ本州での発生は確認されていませんが、施設によっては全頭検査を実施するところもあるとか。

まずは馬に携わる私達一人一人が自覚を持ち それぞれができることをして、できる限り感染が広がらないように努めていきたいと思います。

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