
伸筋腱
最近、後肢の管背面が腫れた症例が2例ありました。
管骨背面には伸筋腱が走行しており、伸筋腱の損傷の有無をみるため、超音波検査を行いました。
伸筋腱の損傷は屈筋腱と比べて予後は良いとされていますが、幸いにも2例ともに腱の損傷はみられませんでした。

屈筋腱とくに浅屈筋腱や繋靱帯はよく知られていますが、伸筋腱についてはあまり知られていないのではないでしょうか。
そこで今回は、伸筋腱の総指伸筋腱(後肢では長趾伸筋腱)と外側指伸筋腱(後肢では外側趾伸筋腱)について書いていきます。
前肢の総指伸筋は上腕骨の太い起始部(主部)と細い橈骨頭から始まります。
主部の腱は中手骨と指骨の背面を下降、繋靱帯の伸筋枝が加わり、末節骨の伸筋突起に終わります。
橈骨頭の腱は管骨部で外側指伸筋腱と合します。
外側指伸筋は上腕骨から始まり、その腱は管骨の上部で総指伸筋腱と合して基節骨近位端に終わります。

後肢の長趾伸筋は大腿骨下端から起こり、その腱は飛節の背面を通り、管骨の中位あたりで外側趾伸筋腱と合して、基節骨、中節骨へ付着しつつ末節骨の伸筋突起に終わります。

前肢の総指伸筋腱は一部(橈骨頭)のみが外側指伸筋腱と結合するところが、後肢の長趾伸筋腱と異なる点です。
超音波検査を頻繁に行なう部位ではない場合、解剖学的構造をよく頭に入れて検査を行なうことが必要ですね。
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