近位種子骨の上方変位

近位種子骨の上方変位

今回は珍しい症例がいたので、その症例について記載していきます。



右前肢球節のレントゲン画像を以下に⇩⇩⇩

皆さんはどう思いますか?



この症例は調教後に重度の右前肢跛行を呈した馬です。



右前肢球節を中心に管や繋に明らかな熱感、腫脹が認められ、

触診では近位種子骨の位置に違和感があり、また、種子骨底部の触診で圧痛を認めました。


レントゲン検査を実施し、明らかな骨折などは認められないものの、近位種子骨が背側に変位しています(1番上のレントゲン画像4枚)。



右前肢への負重を嫌がっていたことから、キムジースプリントを装着し、なんとか歩ける状態に‥

3日後、再検査を実施し、以下がそのレントゲン⇩⇩⇩

近位種子骨が顕著に背側に変位していることがわかります(白矢印)。



数日経てばここまで検査結果に変化があります。



キムジースプリントをつけて球節にかかるテンションを分散させていたのですが、

繋靭帯が近位種子骨を上方に引っ張っていってしまうわけです。



治療は関節固定術を実施し、近位種子骨を元の球節部分に戻す手術です。



私は今までで2症例目の珍しい症例となります。



それでも前回の症例での経験を活かし、早期発見、早期対応はできたと思います。



1症例1症例を大切に



K

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