馬回虫について

馬回虫について

こんにちは。少しずつ暖かくなりやっと春を感じられるようになってきました。

先日「馬のボロから虫が出た」と報告がありました。

調べたところこの虫は馬回虫のようです。

馬も寄生虫に寄生されます。馬に寄生する主な寄生虫、症状、予防法につきましては

寄生虫 – カワタエクワインプラクティス をご覧ください。

本日は馬回虫について少し詳しくお話ししたいと思います。

動物界 Animalia
線形動物門 Nematoda
双腺綱 Secernentea
亜綱旋尾線虫亜綱 Spiruria
回虫目 Ascaridida
回虫科 Ascarididae
Parascaris
馬回虫 P. equorum

馬回虫は回虫目回虫科に属しています。

回虫科の生物は寄生虫の中でも比較的大型です。

外見は体節のない円筒型で厚い外皮に覆われており、口唇が3つあります。

雌雄異体で雌の方が雄より大きいのが特徴です。

内部の消化器系は単純な環状構造になっています。

産卵数が極めて多い上に

回虫卵は乾燥や低温などの外部環境に対する耐久性が高いため、

繁殖力が非常に高い寄生虫です。

回虫科の中でもParascarisに属する馬回虫は体長雄15~28cm、雌18~30cmで、

馬以外にもロバやシマウマに寄生します。

【感染経路】

  1. 糞便中に排出された馬回虫の虫卵を馬が摂取する
  2. 虫卵が胃または腸で孵化する
  3. 卵殻から出た幼虫が小腸粘膜に侵入する
  4. 門脈を通って肝臓に達する
  5. 血流に乗って心臓を経て肺に到達する
  6. 血管を破って肺胞に出、肺胞から気管支、気管を遡って咽頭に達する
  7. 咽頭で嚥下されて再び小腸に寄生する

感染後から成熟までの期間は2~3ヵ月を要します。

画像:「馬の寄生虫病」,公益社団法人中央畜産会,p8より,図7

【病原性】

  • 移行幼虫による間質性肝炎(感染経路4)
  • 肺の点状出血、出血性肺炎(感染経路5)
  • 成虫の小腸寄生によるカタル性腸炎、腸粘膜の肥厚(感染経路7)
  • 成虫の多数寄生では虫体による腸閉塞、 腸破裂、腸重積、腸捻転
  • 虫体の胆管内迷入による胆管閉塞、鬱滞性黄疸など

 【症状】

とくに6か月齢以下の幼駒に重度感染した場合、

食欲不振、発育不良、下痢、疝痛などの症状がみられる。

成馬においては症状が軽く、無症状の場合が多い。

【駆虫薬】

ベンズイミダゾール系薬剤、イミダゾチアゾール系薬剤、アベルメクチン系薬剤

こうして調べてみると「寄生虫」とひとくくりに言っても膨大な種類の寄生虫がおり、

感染経路や生態、引き起こす症状などもそれぞれ違います。

回虫は成馬では症状が軽いことからあまり問題視されないこともありますが、

成虫は寿命を終えるまで卵を産み続けるため感染が持続しやすい特徴を持っています。

感染が続けば糞便中に虫卵を排出し続け、新たな宿主へと寄生します。

馬が最高のコンディションでレースや調教を行うため

感染対策や駆虫プログラムの実施が推奨されています。

MK

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