管骨矢状稜の平坦化

管骨矢状稜の平坦化

日高では現在、市場上場予定1歳馬のプレレポジトリー(事前検査)を行っています。

 

プレレポジトリー撮影で管骨矢状稜に黒い透亮像がみられた例が数頭いました。

 

この透亮像は背掌(底)方向で写り、他の方向では写りません。

 

そこで屈曲外内方向で撮影をしたところ、矢状稜の平坦化やくぼみが確認できました。

 

この所見は、成長中の若馬にみられ、遠位矢状稜の離断性骨軟骨症(OCD)とされており、離断骨片がみられることもあります。

 

このOCDは、管骨矢状稜の基底部にある石灰化した軟骨と軟骨下骨との境界面の損傷による結果で、矢状稜の最上部から約2cm下に多く見られます。

 

前肢のねじれにより側副靭帯の動きが制限され、管骨矢状稜が第1指骨の内側または外側の隆起から圧力を受け、矢状稜の基底部にある成長中の骨に損傷が生じます。

 

この損傷により石灰化した軟骨と軟骨下骨が離断するとされています。

 

離断骨片があり、重度の滑液増加や跛行が生じない限り、遠位矢状稜OCDは通常治療されず、経過観察となります。

 

臨床症状が明らかな場合は、関節鏡による除去手術がおこなわれます。

 

管骨矢状稜の平坦化のみの場合は、競走能力に影響する可能性は低く、予後は良いとされています。

 

以前、跛行はないものの両前球節の腫脹を主訴とした馬のレントゲン検査を行った際に、背掌方向で管骨矢状稜に透亮像がみられ、屈曲外内方向で離断骨片がみられたことがありました。

 

球節のレントゲン検査を行なう際は、屈曲外内方向も撮るのが良いと考えます。

 

(参考文献:Larry RB, Part I: Operative Orthopedics of the Fetlock Joint of the Horse: Traumatic and Developmental Diseases of the Equine Fetlock Joint, AAEP PROCEEDINGS, 2009, Vol.55;96-143)

 

 

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