
大腿骨遠位内側顆のボーンシスト
大腿骨遠位内側顆にボーンシストがみられた症例を紹介させていただきます。
ボーンシストは若齢馬によくみられる発育期整形外科的疾患(DOD)の1つです。
遺伝、栄養状態、急激な成長などの要因のある仔馬の骨に負荷がかかることで、関節軟骨が正常に骨化せず、壊死と変性を起こし、ボーンシストになります。また、外傷により発生するとも言われています。
膝関節の大腿骨遠位内側顆の他に前肢の球節、肩関節など大きな負荷がかかる箇所にみられます。
ボーンシストの程度にもよりますが必ずしも症状が出るわけではありません。
しかし、症状が見られた場合、治療が必要になります。

大腿骨遠位内側顆にシストがあります。(矢印)
今回の症例はシストも大きく、シストにスクリューを挿入する外科的治療を行いました。
スクリューを挿入することで、シストを安定させ、骨増生によりシストを埋める効果があります。

こちらは術後約1ヶ月後のレントゲン画像です。
術前の画像と比べるとシストがわずかに縮小しているようにみえます。
この方法は、内科的治療や他の外科的治療であるシストの掻披術と比較し休養期間が短く、早期復帰が見込めます。
大腿骨遠位内側顆のボーンシストは発生率は低く、遭遇する機会は多くはないですが、
しっかりと理解しておきたいと思います。
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