グラム染色について
こんにちは。
抗菌薬は感染症における最も有用な手段です。
しかし抗菌薬を乱用しすぎると、耐性菌の増加にもつながります。
角膜上皮や実質の欠損を伴う潰瘍性角膜炎では、特に進行が速いため、
速やかに病原菌を推定することがとても重要になってきます。
誤った抗菌薬を使用し続けると、状態がかえって悪化してしまう恐れがあります。
細菌感染症の治療には、それぞれの菌に適した抗菌薬を選択し、
適切に用いる必要があります。
そういった感染症の起因菌を推定する有効なツールの1つにグラム染色があります。
グラム染色を行うことで、より効果的な抗菌薬を選択できる可能性が高くなります。
(ただグラム染色だけでは細菌の細かな種類までの特定は困難です。
同時に細菌培養と薬物感受性試験なども実施することが大切です。)
グラム染色とは、
感染箇所を採材して細菌感染の有無やその細菌の大まかな分類をする検査です。
色素に対する細菌の染色性の違い(陽性菌:紫色、陰性菌:赤色)と
その菌の形態(球菌:球形した菌、桿菌:細長い形)を分類することで、
原因となっている菌を特定したり、
正確な特定が困難でも概ね予測することが可能となり、
効果的な抗菌薬を選択する手助けとなります。
グラム染色には、主に以下の4つの工程があります。
①前染色(細胞壁を染色)②媒染(染まりやすくする)③脱色④後染色(主にグラム陰性菌を染色)
またグラム染色の方法には以下の3種類があります。
①Hucker変法②バーミー法③西岡変法
どの方法も工程は同じですが、使用される染色液・脱水液が異なっています。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、使用用途に合わせて使い分ける人もいるそうです。
栗東にもグラム染色のキットを揃えたので、今後の診療で抗菌剤選択の手助けになればと思います。
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グラム染色の練習がてら、人間の口腔内を採材して染めてみました!
グラム陽性球菌をたくさん見つけることができました。
人間の口腔内に常在している菌と言えども、あまり見たくはなかったです。
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