Supracondylar lysis(顆上骨融解)
市場レポジトリーの前肢球節のレントゲン撮影や読影で、下の写真の矢印のように管骨遠位の掌側(後ろ側)がくびれている像が見られることがあります。
これはSupracondylar lysis(顆上骨融解)と呼ばれています。
慢性滑膜炎での関節液圧の慢性的な上昇の結果として発生するとされています。
顆上骨融解は外内側方向のレントゲン写真で、関節包の掌側嚢の下にある第3中手骨または中足骨の顆の近位の皮質の局所的骨吸収像として見られます(下図の矢印)。
獣医解剖学より
顆上骨融解の程度は、管骨遠位端から10cmの位置の幅と顆の近位(細い部位)の幅との差を測ることで診断します。
この時レントゲン写真は、ずれのない外内側方向で撮影しなければ、正確に測ることができません。
3~4mmの差で中程度、4mm以上の差があるものは重度とされています。
また、臨床症状を示さない馬でも、このレントゲン写真上の変化が見られることがあります。
1歳馬セールのレポジトリーで、中程度または重度の顆上骨融解症がみられた場合、異常のない馬よりも2歳または3歳で出走する可能性が低くなったとの報告があります。
一方、レポジトリーで顆上骨融解症が発見される率には研究間でばらつきがあり、出走との関係性は確定的ではないようです。
私達の診療所でも、レポジトリー撮影でみられたレントゲン上の骨変化と将来のレースパフォーマンスとの関係性について調査する必要があると考えます。
UK