
膝蓋骨上方固定について
こんにちは。
今回は「膝蓋骨の上方固定」について書いていきたいと思います。
膝蓋骨の上方固定とは、内側膝蓋靱帯が大腿骨の内側滑車の上端に引っかかったままになった状態のことを言います。

(カラーアトラス獣医解剖学 上巻より)
起立時は、引っかかった状態を維持することで、筋の緊張に頼らず膝関節を伸ばした状態で固定できます。
ただ馬が後膝を曲げるためには、膝蓋骨が滑車溝の中を上下に滑走する必要があります。
したがって靱帯が骨に引っかかることで、滑車溝の中を滑走できず、
膝蓋骨や飛節を曲げることが妨げられることにより、後肢が伸びたままの状態になってしまいます。
こうなると後肢全体が硬直したような歩様となります。
前方に動かせなくなったり、蹄を引きずるような動作がみられます。

原因としては、
大腿四頭筋の過度な緊張や疲労・退行もしくは未発達などのコンディション不良や
真っ直ぐな後肢(直飛)などが挙げられます。
治療法としては、大きく3つに分けられます。
1)後退させたり、膝蓋骨を内側近位に圧迫して解除する方法
2)運動負荷をかける
3)内側膝蓋靱帯の切断術
間欠性の膝蓋骨上方固定では、1と2の方法で良化することが多いですが、
持続性の膝蓋骨上方固定では、
内科療法で症状が緩和しない場合や慢性病変により膝関節炎を併発した場合などで、
3の方法を選択する場合もあります。

栗東も朝晩肌寒くなってきて、人馬ともに体調を崩しやすい季節になってきました。
私も体調に気をつけながら、日々の業務に取り組んでいきたいと思います。
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