特徴的な歩様:線維化筋症
北海道は朝晩が冷えるようになり、先日ついに事務所の暖房にスイッチを入れてしまいました。
さて今回は後肢の特徴的な歩様を呈す、線維化筋症(Fibrotic Myopathy)についてです。
線維化筋症とは筋肉に線維性の瘢痕組織が形成されて発生する機械性跛行の一種です。
線維化から石灰沈着を起こすこともあります(骨化性筋症、Ossifying Myopathy)。
この瘢痕組織が筋肉の正常な弾力性を制限することによって、肢が歩幅の途中で突然停止し地面を叩く(goose stepping)という特徴的な歩行異常を起こします。
これは、後肢が地面を離れる時に飛節が過剰に屈曲して、急激に肢をあげる歩様の鶏跛と異なりますが、鶏跛のように見える場合もあります。
線維性筋症は、後肢上部の大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋の大腿屈筋群(ハムストリング)、薄筋、特に半腱様筋、半膜様筋に発症しやすいです。
通常は片方の後肢が罹患しますが、まれに両後肢が罹患することもあります。
線維性筋症は外傷(蹴られた、滑って転ぶ等)や過伸展、反復的緊張、感染症、筋肉内注射の繰り返しによって起こる可能性があります。
診断は特徴的な歩様です。
瘢痕組織を触診できる場合もあります。
また、超音波検査で筋肉の損傷部位と程度を判定できます。
治療は安静、消炎剤、ショックウェーブ療法、治療用超音波、レーザー療法などです。
重篤な場合は外科的に瘢痕組織を除去することもあります。
予後は一般的に良好とされています。
ほとんどの症例は1ヶ月ほどで回復しますが、数ヶ月かかる場合もあります。
線維化筋症は運動前のウォーミングアップ、運動後のクールダウンをしっかり行うことで予防できるとされています。
運動前後のウォーミングアップとクールダウンは重要です。
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