蹄葉炎の症例について

蹄葉炎の症例について


こんにちは。

滋賀県も梅雨に入り、じめじめとした天気が続いております。

気持ちだけは負けずに梅雨を乗り切っていきたいです。




今回は蹄葉炎の症例について書いていきたいと思います。


蹄葉炎とは、蹄壁と蹄骨を結合している葉状層と呼ばれる部分の損傷により、

蹄内部に吊るされていた蹄骨が剥がれ落ちてしまう病気です。

競走生命を脅かし、治癒までに長期間を要する蹄病とされています。




蹄葉炎の原因は様々で発症メカニズムは未だに完全には解明されていないと言われています。


蹄葉炎の分かりやすいプロセスについては、


を参考にしてみてください。





今回の蹄葉炎の症例は


蹄骨が内側へユニラテラルローテーションしている馬についてです。




正面からのレントゲン画像で、蹄骨が片方に落ちていることが一目瞭然です。





外貌でも内側に負重し続けている状態のため、内側(画像右側)の白線部が外側と比べて、潰れ肥厚しています。



白線部の肥厚している箇所は柔らかくなっており、蹄壁側に剥がれそうです。



このような重篤な蹄葉炎では蹄が伸びるまで、

消炎剤等の疼痛管理と定期的なレントゲン検査、装蹄療法で様子を見ていくしかありません。




現在行っている装蹄療法としては、3Dプリントシュー(黒)およびACS(ピンク)の充填です。


3Dプリントシューは、蹄の3Dデータに合わせた蹄鉄をCADと呼ばれる3D設定ソフトを用いてデザインし、

それを3Dプリンターで印刷して製作します。



3Dプリントシューと蹄の間にACS(クッション材)を入れ、

3Dプリントシューを履かせることで、

深屈腱の緊張を和らげ、患肢にかかる負担を軽減させる効果があります。



これらを伸縮性の包帯とダクトテープで固定することで、

釘や充填材を使用せずに安定した固定が可能なります。



装着に要する時間が減ることで、人馬にかかる負担が軽減されます。


また何かのきっかけで3Dプリントシューが外れてしまっても、

飼養管理者が比較的容易に再装着することができます。




蹄葉炎のような蹄の疾患は、以上のように獣医師・装蹄師・飼養管理者が一丸となって治療をしていきます。


この馬はまだまだ治療途中ですので、

全体でコミュニケーションをとっていきながら、日々経過を観察していきたいと思います。



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