喉のツボ

喉のツボ

競走馬では 喉が鳴る・音がするとか、咳をするとか喉の症状が見られる馬がいます。

もちろん内視鏡検査をしたり、適応であれば手術を行うケースもありますが、検査をしても原因がわからなかったり、さまざまな理由で検査・治療ができなかったりで、”今ある症状を緩和したい”という相談を受けることは多いです。

しかし症状を抑えるための気管支拡張剤(ツロブテロール・クレンブテロール等)は禁止薬に分類されており、競馬場では基本的に使うことができず、獣医師として対応できることが限られているのが実情です。

そんな中、先日現場の方から「馬の喉のツボはありませんか?」と質問をいただきました。

私自身は経絡には詳しく無いのですが、こんな時に頼りになるのが「中国獣医針灸学」。先人の知恵が書かれた貴重な資料です。

古い本であるせいか「喘鳴」の項目は見つかりませんでしたが、”喉の症状”に関連するであろう「咳嗽」もしくは「喘息」の項目が主治に含まれるものを探すと、以下の7つがありました。

  1. 大椎:第7頸椎-第1胸椎棘突起の間(1穴)
  2. キ甲:第3-4胸椎棘突起の間(1穴)
  3. 三川:第5-6胸椎棘突起の間(1穴)
  4. 肺之兪:第9-10肋骨の間・背中線から約12cm(左右1穴ずつ)
  5. 肺兪:第9-10肋骨の間・背中線から約36cm(左右1穴ずつ)
  6. 膈兪:第10-11肋骨の間・背中線から約12cm(左右1穴ずつ)
  7. 肺攀:肩甲骨後縁の上、中1/3の交点(左右1穴ずつ)

(画像:「中国獣医針灸学」文英堂出版, p125&136より)

解剖学的には 胸神経・肋間神経が分布している部分だそうです。

喉のツボはもっと喉(頭部)に近いところにあるようなイメージを勝手に持っていたので、キ甲周辺や胸部に存在するというのは新しい発見でした。

しかし例えば①の大椎は、ヒトでも馬と同じ第7頸椎-第1胸椎の間にあるそうです。つまりここは首の付け根で、ヒトが冬にマフラーをするのは こういったツボを温めることにもつながるそうです。

取穴しにくいものもありますが わかりやすいの馬のツボもあるので、日々のケアや何か診療にも取り入れることで、症状緩和に少しでも役立てられれば良いかなと思います。

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