疝痛の治療
こんにちは
今回のブログでは「疝痛(せんつう)の治療」について書いていきます。
疝痛(せんつう)とは急性腹症と言われることもあり、腹痛を伴う病気の総称のことです。
馬はその特徴的な腸の構造から、疝痛を発症することの多い動物です。
疝痛の症状と問診について、疝痛の検査については以前ブログに書いたことがあります。
疝痛は内科療法で良化する場合が大半ですが、
一部の疝痛では早急な外科治療が必要になります。
内科療法としては、絶食、軽い運動(曳き運動など)に加えて、
補液、消炎鎮痛剤(バナミン:フルニキシン)の投薬、
経鼻カテーテルでのミネラルオイル投薬、経鼻カテーテルでの塩類下剤の投薬などがあります。
また中等度~重度の疝痛では経鼻胃カテーテルによって、胃の減圧を行うことがあります。
これは胃破裂を予防するためで、胃液の逆流が多い場合は、カテーテルを留置して入れっぱなしにしておきます。
経鼻カテーテルを鼻から胃までいれている様子(上写真)
これらの治療で良化がみられない場合、
もしくは疝痛症状が重度で腸管の変位や捻転などが疑われる場合は
開腹手術が必要な可能性が高くなります。
腸管が変位や捻転を起こしている場合、
徐々に病変部位の腸管の状態が虚血などによって悪化していきます。
その結果、開腹手術をしても腸の状態が悪く助けられないこともあります。
外科手術が必要な場合、
どこで手術できるのか、馬運車は手配できるか、保険はあるのかなどを確認し、
可能な限り早く手術を行うことのできる2次診療施設へ移動させることが重要です。
獣医師は
疝痛の状態を客観的に判断し、
外科手術の必要な可能性が高い疝痛の馬に対してなるべく早く、
手術が必要な旨をオーナーに伝えることが大切になります。
////////////////////////////////////////////////////////
NM