腕節のレントゲン撮影
最近の北海道日高は風が強い日が多いと感じます。
桜も咲き始めたというのに…
さて、先日より腕節(手根関節)のレントゲン検査を
おこなう機会が多くありました。
当診療所では
1. 外-内側方向(ラテラル)
2. 背外-掌内斜位方向(DLPMO)
3. 背内-掌外斜位方向(DMPLO)
4. 屈曲ラテラル
5. スカイビュー(スカイライン、背側近位-背側遠位斜位方向)
をルーティンで撮影しています。
場合によっては背-掌方向も行います。
スカイビューは橈骨遠位端や手根骨の背面を
描出するのに有用です。
馬の腕節を屈曲させ、下記のように撮影します。
①橈骨遠位端:85°打ち下ろし
②手根骨近位列(橈側手根骨、中間手根骨、尺側手根骨):55°打ち下ろし
③手根骨遠位列(第3手根骨、第4手根骨、第2手根骨):35°打ち下ろし
橈骨遠位端の描出には85°の打ち下ろしが必要とされており
ほぼ垂直に打ち下ろすことになります。
レントゲン照射装置は結構重たいので大変です。
そこで馬の肢の屈曲のさせ方を変えます。
こちらの教科書(獣医臨床放射線学、文英堂出版)では
前腕が地面と垂直になるように肢を後ろに引きながら屈曲させ
65°打ち下ろしで橈骨遠位端を
腕節を頭側(前)へ引き出すように屈曲させ
30°打ち下ろしで手根骨遠位列を撮影するとしています。
また、第3手根骨の盤状骨折ではスカイビュー撮影をおこないますが、
正面からの撮影では描出が困難な症例があるようです。
その場合は、正面からだけでなく外側から角度をつけて撮影すると
骨折が描出できるそうです。
(P H L Ramzan, Equine Vet J. 2019 Mar;51(2):258-260)
正面からの撮影では見えない骨折線が(上の写真)、
外側から撮影することによって描出されています(下の写真)。
これからの撮影に取り入れようと考えます。
教科書どおりに馬の肢を屈曲させたまま維持するのは実際なかなか難しいのですが、
診断価値のある美しいレントゲン写真を撮れるよう心がけています。
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