脛骨の疲労骨折

脛骨の疲労骨折

脛骨の疲労骨折は、2-3歳のサラブレッドの競走馬で比較的よく見られるタイプの骨折です。
特に2歳・未出走馬に多いそうです。

部位としては、負荷時に圧縮力がかかる 尾側の骨皮質に起こりやすく、
また骨幹中央部〜遠位の部分に起こるのが一般的ですが、近位・尾側の骨幹端部分に起こることもあるそうです。

この骨折の厄介なところは、

・急性の跛行を示しても、数日の内に良化がみられる。
・跛行以外の症状は無いことが多い。
・触診や打診で、反応が見られないことが多い。
・X線検査では、仮骨形成が見つかれば診断できることもあるが、わからないことが多い。
・厩での寝起きや調教を再開した際に完全骨折に至ることがあり、成馬では脛骨の完全骨折は安楽殺の対象となる。

という点です。

こちらは先日遭遇した症例(2歳 未出走馬)です。
調教後に後肢の跛行を示し、発症から5日目の初診時 脛骨骨折も疑いX線検査を行いましたが 所見は得られず。しかしその2日後に完全骨折に至り、安楽殺となりました。

もちろん発症からの期間・症状の変化・X線検査画像の変化を見ながら、半年以上の長期の期間を要することもありますが しっかりと休養期間を取り、 また完全骨折に移行しなければ、無事に復帰するケースもあります。

こちらは2歳の時に脛骨骨折の病歴のある馬で、治癒して調教を進めた3歳時に状態確認のため検査を行った時の画像です。脛骨の遠位尾側に骨折による仮骨形成と思われる部分が確認できます。

ちなみに、シンチグラフィーを用いた検査では、60日間は骨折が治癒しないことが確認されているとのことです。

参考資料
:”Diagnosis and management of lameness in the horse” 2nd ed. pp527-9
:”Clinical radiology of the horse” 3rd ed. pp407-10

「脛骨骨折の疑いがある」という曖昧な診断しか出せないことも多いですが、可能な限り所見を得て より正確な判断ができるようにしていかなければいけないと感じます。

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