治癒中の腱の超音波検査
先日、浅屈腱炎に罹患し、1年以上のリハビリテーションを経て
調教を始める馬の超音波検査をおこないました。
ただ、損傷部位や程度は不明で、視診や触診でも判断できませんでした。
超音波上でも腱はほぼ等輝度で、明らかな損傷部位はみられませんでした。
そこで、プローブを傾けて、オフビームスキャンを行うと…
明らかな高輝度の部位(瘢痕組織)がみられました(矢印)。
一方、こちらは損傷後6ヶ月で治癒過程が進んだ浅屈腱です。
オンビームスキャンではほぼ等輝度ですが、
オフビームスキャンでは瘢痕組織が明瞭です(矢印)。
オフビームとは、超音波の不適切な入射角度、
すなわち腱や靭帯に対して垂直に超音波があたっていない状態です。
逆に正しい入射角度、腱や靭帯に対して垂直に超音波が
あたっている状態がオンビームです。
オフビームはアーティファクトを生じさせ、損傷を見逃したり、
逆に存在しない損傷を見せたりすることがあります。
ですので、普段の検査ではオフビームにならないようにします。
しかし、今回のようにオンビームでは明らかな損傷部位が見られない場合や
治癒過程が進んだ腱で、損傷部位が周りの正常組織と見分けがつきにくい場合など
慢性的な損傷を特定するために、意図的にオフビームにすることは有効です。
超音波検査でも様々な角度からみることが必要ですね。
UK