肢勢について

肢勢について


あっという間に12月に入り、2023年もあと少しです。

残りの日々も大切に過ごしたい所です。



さて今回は、肢勢について書いていきたいと思います。


「肢勢」とは四肢の立っている状態をいいます。

基準を馬体の規定の部位からの垂直線にとって、それからの片寄りを判断して、正肢勢と不正肢勢を分けます。



前方から見た場合

概説馬学(新装版)より

(1)肩部の隆起点から垂直に下ろした線が、腕節、球節、蹄の軸中を通過して、左右に2等分するとき、これを正肢勢と言います。

(2)蹄幅が肩幅よりも広い場合を広踏肢勢といい、不正肢勢の一種です。体重が蹄の内半部に片寄ってかかるため不正の蹄形を生じます。また球節以下にある繋、蹄等が内方に捻転する内向肢勢を併発した場合には内弧肢勢(O状肢勢)を呈します。

広踏肢勢は、仔馬等の筋肉の発育が悪い馬に多く見られる肢勢です。

(3)蹄幅が肩幅よりも狭い場合を狭踏肢勢といい、こちらも不正肢勢の一種です。蹄は内半部が外半部より広い不正形になり、交突しやすいです。また球節以下が外方に捻転する外向肢勢を併発した場合には外弧肢勢(X状肢勢)を呈します。

上腕部でも肢軸と管骨部での肢軸が手根関節でズレを生じる所見を続発して、手根関節の変形関節疾患の素因となりやすいことが知られています。



側方から見た場合

概説馬学(新装版)より

(1)肘関節の中心点から垂直に下ろした線が、腕節、管、球節を前部と後部に2等分し、蹄踵のやや後方に落ちるとき、これを正肢勢と言います。

(3)肘関節から下ろした線よりも手根関節が前方に位置する肢勢です。蹄葉炎などの蹄疾患に起因して、前肢の負荷減少を試みている症例に認められることもあります。

(4)肘関節から下ろした線よりも手根関節が後方に位置する肢勢です。手根関節の過伸展を起こした肢勢に起因する場合が多く、手根骨破片骨折などの素因となりやすいです。



触診やレントゲン検査、エコー検査をする前に、姿勢や肢勢を観察することで、わかることはたくさんあります。

また現状は何もトラブルが起きていなくても、視診から不正肢勢であることを理解していれば、調教をするにあたり、回避できること、懸念すべきことを、前もって伝えることができます。

私もこれから木を見て森を見ずにならぬよう、意識的に肢勢を観察し、理解を深めていきたいと思います。

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