縫合(線)骨膜炎 suture (line) periostitis
数ヶ月前から目と目の間が腫れてきた馬がいました。
その腫瘤には痛みはなく、徐々に大きくなっていきました。
これは、頭蓋骨の前頭骨と鼻骨の間の縫合の炎症、
鼻前頭間縫合(線)骨膜炎と考えられます。
下図の青い線が鼻骨と前頭骨の間の縫合です。
(家畜比較解剖図説より)
縫合とは、頭蓋骨の扁平骨のつなぎ目(線維性関節)です。
これらの縫合は、頭蓋の成長ができるように、わずかに柔軟です。
縫合骨膜炎の原因は、縫合の不安定さや外傷、感染症(副鼻腔炎など)
が考えられますが、原因が特定されないことが多いです。
診断は臨床症状、レントゲン検査、CT検査で行います。
レントゲン検査では前頭骨と鼻骨に骨増生がみられます。
治療は、ほとんどの場合は必要ありませんが、
初期では炎症をコントロールするために
抗炎症剤が用いられることがあります。
また、縫合をプレートで固定する場合もあります。
感染症が原因の場合は抗生剤を使用します。
骨増生が副鼻腔や眼窩におよぶ場合は
外科手術が行われることもあります。
腫瘤は自然と治まっていきますが、サイズが小さくなるのに
1~1.5年かかり、残ってしまうものもあります。
現在、この馬の腫瘤は徐々に小さくなってきています。
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