馬の双子

馬の双子

こんにちは。

北海道も寒さが厳しくなり、

早くも秋に別れを告げなければならないようです。

今回は馬の双子について話をします。

「双子」と聞くと珍しくて可愛くて

とても幸せな気持ちになりますが、

残念ながら馬では双子が生まれることはほとんどありません。

理由は、双子を妊娠したとしても

片方の胎仔が成長不全で壊死に至る場合が多く、

その場合片方、または両方の胎仔を

流産する可能性が高いからです。

(画像:「馬臨床学」,緑書房,p214より,図7-35)

↑妊娠200日付近での双胎による流産

そのため双子を妊娠した場合、

母馬の安全も考慮し片方、または両方の胎仔を

中絶する処置を行います。

双子の妊娠は双胎妊娠と呼びます。

双胎妊娠が起こる理由のほとんどは、

卵巣で2つの卵胞がほぼ同時期に排卵(二重排卵)した際に

種付けを行うことです。

二重排卵が起こり、両方の卵子が受精し、

片方が消失することなく着床すると双胎妊娠となります。

多くの場合は、

双胎妊娠となる前に両方の卵子が受精した時点で

片方の胎胞を子宮の端へ誘導し、

破裂させることで減胎処置をします。

このような減胎処置や妊娠中絶を行わず、

双子が両方健康に生まれてくる確率は1000分の1といわれています。

その1000分の1の確率で生まれ、

競走馬デビューを果たした双子を一組みつけました。

1991年生まれ リアルカストール、リアルポルクス

父はゲイメセン、母はテスコパール、

兄弟には1990年日本ダービーを優勝し、

同年のJRA賞最優秀4歳牡馬となったアイネスフウジンがいます。

残念ながらこの2頭は勝ち上がることはできませんでした。

しかし、1000分の1の確率で生まれて

競走馬としてデビューできるまで成長できたなら、

もう充分大優勝だと私は思っています。

ちなみに「リアルカストール」、「リアルポルクス」という名前は

ふたご座の星の名前からとったそうです。

母馬の安全と無事に生まれる確率を考えると

今後双子の競走馬がデビューする可能性は限りなく低そうですが、

もし現れたならぜひ注目したいと思います。

MK

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