馬の殿部について
こんにちは。
栗東でも急に肌寒くなり、一気に秋の匂いを感じ始めました。
みなさんは、「競走馬のお尻を見てると、走る馬かどうか分かる」なんて言葉を耳にしたことはありませんか?
競走馬はアスリートです。
レースに向けて、どんどん筋肉をつけて逞しくなっていく姿はとても惚れ惚れしてしまいます。
馬の走るスピードは、ほとんど後肢で作られています。
そのため後肢をつなぐ股関節周囲の筋肉が発達している馬こそより速く走れると言われています。
中殿筋、半腱半膜様筋、大腿二頭筋、大腿四頭筋(外側広筋)、大腿筋膜張筋は股関節、膝関節の伸展、屈曲するのに重要な役目を担っています。
(カラーアトラス獣医解剖学上巻:馬の後肢深部の筋 p287)
その中でも今回は速く走る上で特に重要な中殿筋について書いていきたいと思います。
中殿筋は推進力を作る主導の筋肉です。殿部の筋肉の中で最も太く殿部の輪郭を形成する筋肉です。
またしっかりと2歳春までにトレーニングが積まれた馬の中殿筋は、収縮速度が速く疲れにくい筋線維を持っているそうです。
中殿筋の作用は股関節の強力な伸展と後肢の後引および外転です。
地面を蹴る力は中殿筋にかかっています。
(カラーアトラス獣医解剖学上巻:馬の後肢の表在筋 p277)
この馬の写真でも中殿筋がくっきり見えますね。
走ると言われている馬は、後ろからみるとトモの上部が角ばって見えます。
中殿筋が発達している馬は、そのように見えます。
反対にすとんとお尻が落ちている馬は、貧弱でスピードが出ない印象を受けます。
(カラーアトラス獣医解剖学上巻:馬の後肢の表在筋と骨格尾側面 p281)
馬のお尻をしっかりと後ろから見ることはなかなかないので、恐怖心とかっこよさが押し寄せてきます。
ぜひ皆さんも競馬を見るときに、色んな馬の殿部を比べてみても面白いかもしれません。
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