
疝痛の検査
こんにちは。
今回は疝痛の検査について書こうと思います。
前回は疝痛(ハライタ)を起こした馬の症状や、その問診について書きました。
(前回の記事)
七転八倒するポニー

(本当はただゴロゴロ寝返りをうっているだけです)
疝痛が疑われる馬に対して実施する検査としては以下のものがあります。
・聴診
・身体検査(体温、可視粘膜、ツルゴール反応など)
・直腸検査
また、上の項目に追加して実施される検査には以下のものがあります。
・エコー検査
・レントゲン検査
・血液検査
・経鼻カテーテル(胃逆流検査)
聴診では
このように



左右から腸の音を聞きます。
聴診では腸の蠕動音が
なくなってないか、弱いか、強いか、異常な音(ガス音など)がないか
をチェックします。
腸の蠕動音は
ゴロゴロや、トイレを流す時の音、などいろんな言われ方をしますが、
私にはグルグルという音に聞こえます。
ガス音はキンキンや、金属音と言われることがあります。
私にはカランカランという音に聞こえます。
また、馬の左脇のあたりから心拍数を測ります。

馬の正常な心拍数は約30〜40回/分とされています。
変位疝や風気疝など
痛みの激しい場合では
心拍数が60回/分を超えることがあります。
身体検査では、
体温が上がっていないか、可視粘膜が白くなっていないか、ツルゴール反応で脱水がないか、
などをチェックします。
直腸検査では
直腸にあるボロは正常か、触れる腸管や臓器の位置がおかしくないか、
などをチェックします。
エコー検査やレントゲン検査を実施することもありますが、
500kg近くある競走馬の大きなお腹の検査を実施するには
かなり限界があります。
また、血液検査については、
一般項目を測定する場合もありますが、
往診先ではその場で検査できる乳酸値の測定を実施することもあります。
馬の胃はその体に対してかなり小さく、内容は20Lと言われています。
そのため小腸で通過障害がおきるとすぐに胃がいっぱいになり、
最悪の場合、胃破裂をおこす危険があります。
このような胃の液体貯留が疑われる場合、
経鼻カテーテルによって
胃内の状態を確認したり、
液体を抜くことで減圧を行うことができます。
以上の検査を実施し、
できるだけ早く馬の状態や疝痛の原因を診断し、
適切な治療法や疼痛管理を実施することが大切です。
NM