涙液と眼瞼について
馬の好きなところはたくさんありますが、
個人的に好きなパーツを言うなら、その一つは眼です。
感情が現れる部分でもありますし、
また大きな角膜の奥に見える横長の瞳孔・虹彩顆粒・櫛状靭帯等、美しい構造が散りばめられています!
さて今日はそんな眼について、
中でも涙液と眼瞼について、少しお話したいと思います。
涙液は、角膜の表面にある透明な液体ですが、
実際は外側から
・油(マイボーム腺から分泌)
・水(涙腺・瞬膜腺から分泌)
・粘液(結膜杯細胞から分泌)
の3層で形成されています(これを涙膜という)。
外層の油の成分は、下層の水分が蒸発を防ぐ役割があります。
瞬きをして上下の眼瞼縁が接触する刺激により、眼瞼縁に開口しているマイボーム腺から分泌されます。
中間にある水の成分は、角膜の正常な構造・機能を維持するために必要な、アミノ酸・タンパク質・ビタミン・成長因子が含まれています。
血管の無い角膜には、この涙液による栄養供給が欠かせません。
内層の粘液の成分(主にムチン)は、主に角膜上皮の表層の細胞の絨毛の間に入り込んで、涙膜を角膜の表面に乗せる役割をします。
そしてこの涙液はきちんと瞬きが行われることで 角膜上にしっかりと広がり、正常な角膜維持に役立ちます。
例えば眼瞼に問題があって瞬きができないと、涙液がしっかり広がらず、涙が流れたり、角膜に乾いたり障害が起こりやすくなります。
このように眼瞼は、物理的に眼球の保護や光量の調整だけでなく、上記のような機能も持った大事な構造です。
ですから眼瞼縁を怪我してしまった馬がいても、切り取ったりせずに、眼瞼縁を揃えてキレイに縫合しないといけません。
この馬も眼瞼縁を切ってしまいましたが、縫合して治りました。
皆さんの馬の好きなパーツはどこですか?
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