頂部の種子骨骨折

頂部の種子骨骨折

こんにちは。

北海道の育成馬たちも調教が進み、

本州への移動が決まった馬もでてきていますが、

様々な疾病により休養となる馬もいます。

今回は最近診療した

近位種子骨(以下、種子骨と表記します)骨折の2頭について書いていきます。

種子骨は繋靱帯に付着しており、

球節の沈下を防ぐ役目をもっています。

球節の屈曲、伸展による負荷が種子骨骨折の原因と考えられます。

1頭目の症例です。

2歳メスで、坂路調教後に右前肢の跛行がみられました。

レントゲン検査で外側種子骨頂部(近位)の骨折が判明しました。

種子骨頂部の骨折は、一般的には

種子骨全体の1/3以下の骨片であれば摘出することにより、

予後は良いとされています。

本馬は骨片の大きさが種子骨全体の1/3であり骨片を摘出しましたが、

摘出術が適応となるギリギリの大きさでした。

術後、今は舎飼いですが、

両前肢に負重し歩くことが可能になっています。

2頭目の症例です。

2歳、牡

1歳時のレポジトリー検査で

左後肢の種子骨骨折は判明していました。

育成場へ移動した後にもレントゲン検査を行い、

外側種子骨頂部の骨折を確認しています。

所見から、骨折は以前に起きたものと考えられ、

跛行や患部の腫れがなかったため

調教は他の馬たちと同様に進められていました。

先日の調教後

左後肢を着けない程度に痛みがでました。

左後肢の外側種子骨周囲が腫れてきて、痛みもありました。

レントゲン検査で種子骨の所見に変化はみられませんでしたが、

骨片の摘出をすることになりました。

 

骨片を摘出し、

経過が順調であれば調教再開は3~4ヶ月後となる予定です。

上記の馬のように疾病により調教が遅れる馬もいますが、

その馬たちも無事に活躍できるように管理に関わっていきたいと思います。

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