薬物規制について

薬物規制について

いつのまにか、すっかり花粉症の季節ですが

少し前に、オンラインで開催されたウマ科学会のシンポジウムを聴講しました。

招聘講演としてイギリス王立大学 トゥータン先生のお話(国際競馬統括期間連盟 IFHAのルール作成に携わった先生とのことでした。)等、薬物規制についての様々なお話を聞くことができました。

それを踏まえて、改訂された薬物規制について、自分が思ったことを書いていきたいと思います。


今回規制に追加される薬物にどのようなものがあるか、例として、競走馬で比較的よく見られる運動誘発性肺出血(鼻出血)の予防・治療薬についてみてみます。

これまでも、日本では利尿剤(フロセミド)の規制はあったのですが、

これまで規制が無く、習慣的に良く使われていた、止血剤(カルバゾクロムスルホン酸ナトリウム、トラネキサム酸塩)についても、今回のルール改訂で新たに規制に追加されました。

もちろん出走制限期間を設定して投薬することはできますが、実際は競馬前の調教や競馬に向けての予防的な投薬というのはかなり減っていくことが予想されます。

このようにして新たに追加される薬が、禁止薬・規制薬あわせて400近くもあります。

そうなると、やはり実際の現場では「薬、使えなくなっちゃうんだよね。」といったような抵抗感を示されることもあります。

もちろん経済動物である競走馬がレースで走ることは大事なことであり、現場で働く人達はそこを目指して行動するのも当然のことです。

現にアメリカでは現在も、競馬の前に利尿薬の使用が許可されている州もあるそうです。


しかし、そもそも今回の日本の薬物規制の改訂において、元になっているヨーロッパのIFHAの理念として「最も優先すべきは、馬の福祉である。」という考えがあるそうです。

講演内でトゥータン先生が、何度もそれを仰っていたのがとても印象的でした。


ヨーロッパの馬とヒトとの文化と歴史は、おそらく日本とは全く違うもので、その考え方・ルールだけを日本に当てはめようとしても、どこかで歪が生じるのも仕方ない事なのだと思います。

それでも日本の馬産業を発展させていくためには、その歪に負けずに進めていかないといけないのだなと、講演を聞いて思いました。

まずは社内の勉強会等で、改訂される薬物規制について、しっかりと情報の共有と周知徹底を測っていきたいと思います!


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