ブドウ膜炎 その2
前回同様、ブドウ膜炎の症例です。
初診時に角膜混濁していましたが、眼の開きは正常で流涙や縮瞳などもなく、
牧場も「以前にここにいたとき(約1年前)から、眼はこんな風に濁っていた気がする」とのことだったため
この日は何もせず、様子を見ることにしました。
そこから約2週間後の画像です。
混濁が強くなっており、角膜の表面が軟化しているような感じでした。
肉様の浸潤(矢頭)や虹彩の血管新生もみられます(矢印)。
眼の開きは正常で、流涙や縮瞳は相変わらずありません。
フローレス染色を行いましたが、角膜表面に傷はみられませんでした。
おそらくブドウ膜炎であると考え、ステロイド点眼を開始することにしました。
点眼開始から約1週間後。
角膜混濁は薄くなり肉様の浸潤はみられなくなりました(指が写りこんでおり分かりづらいですが…)。
血管新生はまだ残っています。
点眼開始から約2週間後。
角膜混濁はかなり薄くなりました。
血管新生はまだ残っていますが、ここから良化はみられないようです。
念のためもう少し点眼を続けたのちに終了とし、様子を見ることになりました。
その後も悪化もみられず、このままの状態で落ち着いているようです。
約1年前から角膜の混濁などがみられた、とのことだったため、これはおそらく慢性化しているものと思われます。
前回も書いた様に、ブドウ膜炎は再発と良化を繰り返す疾病のため、
今後も注意して見ておく必要があります。
この馬もとてもおとなしく、治療に対して非常に協力的でした。
点眼を嫌がり暴れるような馬の場合、持続点眼装置を設置して治療に当たります。
そうすると安全・確実に投薬できるのですが、馬が馬房で寝転がったり、何かに引っ掛けた場合
チューブを切ってしまうこともあります。
そのため毎日チェックして、故障があれば修理しなければいけません。
「これは治療に必要なことだ」と馬が理解してくれれば一番良いのですが…
望むべくもないですね。
図々しい闖入者に出て行ってほしいが、望むべくもないメッシ。
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