経鼻カテーテル

経鼻カテーテル

夏休みが終わり、毎日のお弁当作りから解放された今日この頃。

南関東では段々と涼しくなってきましたが、
日によって暑かったりもして、
気温差が激しい日々が続きます。

こんな時期は 疝痛が起こりやすくなり、
良く使う経鼻(胃)カテーテルについて、お話しします。

疝痛等の診断・治療の際に、
鼻孔から挿入して胃まで到達するカテーテルを用います。

馬では鼻孔から胃までの長さは 1.5m程度とされています。

ちなみに今使っているものは全長3m弱のものを使っているのですが、
小動物用のフィーディングチューブを見ると サイズの違いに驚きますね…。

まず鼻腔内を通す時は、腹側を通すようにします。

鼻腔の中を傷つけると、鼻血が出ることもあるので、注意します。

カテーテルの先端が喉に到達したら、
嚥下をさせて、気管の背側にある食道に挿入します。

(画像:「新編 家畜比較解剖図説」上巻, 新編第1版, 養賢堂, p227より, 食道背壁・咽頭壁の一部を切開)

挿入は焦らず馬のタイミングに合わせることが大事で、
この時 誤って気管に入れないように注意することが必要です。

気管に入った場合は、馬が激しく咳をしたり、
カテーテルの反対側から息を吸うことができる状態になります。

食道は、頚部・胸部・腹部に分けられます。

頚部は、始め気管の背側を走りますが、
後半部(第4頚椎付近)では気管の左側を走ります。

(画像:「馬の解剖アトラス」第3版 チクサン出版社, p53)

カテーテルを挿入する際は、この食道頚部後半部分で、
頚部左側でカテーテル先端が通るのを目視で確認したり、
さらにカテーテルを通して息を吹き込むことで手で空気の振動を確認することで、
気管では無く 食道内に確実にカテーテルが入っていることを確認します。

さらに食道胸部は、気管の背側に戻り、
気管分岐部の後方で気管から離れて、横隔膜食道裂孔を通り、
さらに腹部に移行(馬では2-3cmととても短い)して、胃の噴門に繋がります。

カテーテルが胃に到達した場合は、
ゴボゴボ・グシュグシュという胃内の音や、
胃液のモワッとした臭気を確認できます。

通過障害があって、
胃内にガスが溜まっていたり、液体が貯留している場合は、
カテーテルの挿入によって減圧をすることができます。

500ml程度の呼び水を入れてサイフォンの原理で排液したり、
状態によってはカテーテルの留置が必要な場合もあります。

馬はげっぷや嘔吐ができないので、この操作は非常に有効です。

もしくは、漏斗やポンプを使って、薬剤等を投薬することもできます。

このように、経鼻カテーテルの使用は診断や治療にとても有用なため、
新入社員の早い段階で技術取得する項目ですが、

ただし疝痛の判断を誤ると 馬の命に関わるため、
病態を正しく判断できるように、
それ以外の部分でも様々な判断力を養って行く必要があります。

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