
繋靭帯近位付着部炎
先週から新馬戦がはじまりました。
競走馬としてデビューした馬がいる一方で
北海道でデビューに向けてトレーニングを積んでいる馬たちもいます。
また、中には様々な疾患により休養を余儀なくされている馬もいます。
2歳馬の身体はまだまだ成長途中であり、
運動強度が増していくことで様々な運動器疾患が発症します。
今回は後期育成期に問題となる運動器疾患である
近位繋靭帯付着部炎(PDS:Proximal Suspensory Desmitis)について紹介します。
近位繋靭帯付着部炎は、いわゆる深管骨瘤(シンカン)として知られています。
第3中手骨の繋靭帯付着部に炎症が起こることが原因と考えられています。
最近遭遇した1症例を紹介します。
2歳、メスの
調教を進めていた馬に左前肢跛行がみられました。
左前肢繋靭帯近位付着部に触診痛がみられ、
レントゲン検査を行うと、
第3中手骨の繋靭帯近位付着部に逆U字状の骨折線が認められました。


繋靭帯近位付着部の炎症による跛行でも、
レントゲン所見がみられないことも多いです。
(レントゲン所見はみられず、患部の局所麻酔により
跛行の消失減退がみられる症例があります。)
骨折線がみられた本症例は比較的重症であるといえます。
治療は休養、冷却と抗炎症剤の投与、ショックウェーブを行っています。
発症から1ヶ月程度経過した現在も治療中ですが、
今までの経過は順調です。
今後も無事に治癒して
競走馬としてデビューできるよう治療を進めます。
競馬場で走る日を楽しみにしています!
UR