飛節について(骨)
最近、飛節に関する症例があったため、
解剖学的に学び直したいと思います。
飛節とは、足根骨格を指し、脛骨遠位と中足骨近位と関節します。
Tib:脛骨、F:脛骨外果(腓骨遠位端)、T:距骨、C:踵骨
c:中心足根骨、1+2:第一・第二足根骨、3:第三足根骨、4:第四足根骨
II:第二中足骨、III:第三中足骨、IV:第四中足骨
(獣医解剖学より)
脛骨遠位端には、1本の稜線(中間稜)によって分けられる斜走溝(関節溝)である
脛骨ラセンがあり、それらの両側に、内果と外果があります。
脛骨外果はウマとウサギにみられ、退化した腓骨の遠位端に相当します。
脛骨の中間稜や内果は離断性骨軟骨症(OCD)のみられやすい部位です。
飛節(足根関節)は次の3列からなります。
・近位列:距骨(内側を占める)、踵骨(外側を占める)
・中間列:中心足根骨
・遠位列:第一〜第四足根骨(内側〜外側)
(馬の解剖アトラスより)
近位列の距骨の近位背側面には大きな2つの距骨滑車(外側滑車と内側滑車)があり、
脛骨ラセンと関節します。
外側滑車では、OCDがみられることがあります。
また、内側滑車の尖端は、色々な形があり、骨片と間違うようなものもあります。
距骨の遠位端はウマではほぼ平坦で(他の動物では少し丸みをおびています)、
中心足根骨上に乗ります。
同じく近位列の踵骨には、近位方向に盛り上がる踵骨隆起があり、
ここにアキレス腱(下腿三頭筋腱)が終止します。
踵骨の内側には踵骨溝を経て載距突起があり、深趾屈筋腱を支えます。
37:距骨、42:踵骨(43:踵骨隆起、44:載距突起)
45:中心足根骨、46:第一・第二足根骨
(馬の解剖アトラスより)
中間列の中心足根骨の近位面は、他の動物では距骨の形に合致して
へこんでいますが、ウマでは平坦です。
遠位列の第一~第四足根骨は、ウマでは第一と第二足根骨が癒合して
第一・第二足根骨となっています。
この第一・第二足根骨は比較的小さく、より大きな第三足根骨の後方に
大部分が収まっています。
第三足根骨は、第三中足骨直上に位置します。
第四足根骨は第三足根骨の外側にあります。
第四足根骨は、立方状で丈が高いため、中間列に向かって
近位方向にわずかに突出し、踵骨の載距突起の遠位と関節します。
つまり、第四足根骨は遠位列だけでなく、中間列も占めています。
中足骨は前肢と同様に、第二、第三、第四中足骨のみが存在します。
前肢の第三中手骨は、体重を支えるため、横断面が内外に長い楕円形をしていますが、
後肢の第三中足骨は、横断面が円形です。
次回は、飛節の関節包や滑液包、靭帯について学び直したいと思います。
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参考文献
・家畜比較解剖図説(養賢堂)
・馬の解剖アトラス(チクサン出版)
・獣医解剖学(近代出版)