離断性骨軟骨症(OCD: Osteochondritis dissecans)
レポジトリー検査を行うと
飛節や球節、膝関節などに
離断性骨軟骨症(以下OCD)が発見されることがあります。
OCDは発育の過程で関節軟骨に壊死が起こり
骨軟骨片が剥離した病変です。
OCDが形成される過程について、図を用いて説明します。
(Adams and Stashak’s lameness in hoeses 6th, p.1155, 一部改変)
大腿骨や上腕骨など長骨の成長は
まず軟骨が作られ、骨組織に置換されることで進行します。
この過程を軟骨内骨化といいます。
(上図の①から②の過程)
軟骨内骨化の異常により
関節軟骨が壊死し、骨軟骨が剥離した病変がOCDです。
(上図の②から③)
OCDは骨が成長する過程で形成されるため
2歳以下の発育期の馬にみられることが多いです。
また、1歳馬のレポジトリー検査で偶発的に見つかり
「レントゲンで所見があるが臨床症状はない」ことも多いです。
レントゲン所見があっても臨床症状がないときは
手術適応でないという判断になる場合もありますが
市場で高く売却するためにOCDが摘出される場合もあります。
膝関節にOCDがみられた一症例を紹介します。
騎乗運動を開始した1歳馬に
膝関節の関節液増加と左後肢跛行の症状がみられたため
両膝関節のレントゲン検査を行ったところOCDがみられました。
左膝関節のレントゲン写真
大腿骨外側滑車の矢印で示す部分にOCDがみられます。
右膝関節のレントゲン写真
左と同様に大腿骨外側滑車にOCDがみられました。
大腿骨外側滑車のOCDがみられる症例のうち
両関節に病変がみられる例は全体の半数近くあるそうです。
本馬は欠損部分が大きく、跛行の症状も呈していたため
二次診療施設へ移動し外科的にOCDが除去され
現在は舎飼いで休養中です。
今年のレポジトリーでもみたOCDの病変ですが
跛行の症状を伴う症例は初めて経験しました。
UR