馬の胃潰瘍
肌寒く、冬の訪れを感じる季節になってきました。
今回は胃潰瘍について書いていきます。
まずは馬の胃の構造について確認しましょう。
馬は単胃動物で、容量は10Lほどです。
胃粘膜は無腺部と腺胃部に区別され、その境界部にヒダ状縁が存在し、ヒダ状縁は特に胃潰瘍が見られる部分でもあります。
(馬の医学書 P109より)
馬が胃潰瘍になりやすい理由として、多くのエネルギーを必要とする競走馬には穀類などの濃厚飼料を与えられることが関連しています。
濃厚飼料は乾草などの粗飼料に比べて、胃酸の分泌を促進する効果があり、胃内のPHが下がることで胃潰瘍を引き起こすリスクが高まるという仕組みです。
また、唾液はアルカリ性であり、食塊と一緒に胃内に入ることにより胃酸を緩衝します。
馬が一日中野外にいるとき、24時間中14~16時間は草を食べ続けますが、
舎飼いの場合は常に草を摂取しているわけではないため胃内のPHが下がってしまうというわけです。
他にも強い運動により胃内部が攪拌され、無腺部が胃酸に晒されることによって発症する場合もあります。
無腺部は腺部と異なり、粘液や重炭酸により表面が守られていないため、胃酸に暴露されて胃潰瘍の発症リスクが高まってしまいます。
。
このように競走馬による胃潰瘍発症の要因は多くあり、管理者および獣医は気をつけていかなければならない疾病の1つでもあります。
症状としては食欲不振や疝痛症状、下痢、元気の消失などが挙げられます。
これらの症状や馬の少しの変化にいち早く気づいてあげることも素早く治療や対応してあげるためにも重要なことです。
私としても馬の症状に早く気づき、治してあげれる獣医師を目指していきたいと思います。
K