感染性蹄骨炎
数年前、後肢の跛行で診療した症例です。
繋から球節にかけて腫れ、熱感、疼痛があり、
球節と蹄のレントゲン検査を行いましたが、
明らかな異常所見は得られませんでした。
消炎剤と抗生剤で治療しましたが、
跛行は良くならず、2週間後に再検査をしたところ、
蹄骨の掌突起に透亮像がみられました(矢印)。
さらに診断麻酔をして、跛行の原因が蹄にあることを確認しました。
二次診療施設で精密検査をしていただいたところ、
感染性の蹄骨炎と診断されました。
抗生剤の局所灌流や外科的処置は必要ない程度でしたので、
抗生剤の全身投与を続けました。
その後、透亮像は徐々に埋まっていき
無事に競走馬になることが出来ました。
さて、この症例の感染経路ですが、
初診時に蹄に外傷はありませんでした。
ただし、球節外側になかなか治らないという古い傷がありました。
おそらくここから、細菌が血流にのって蹄骨にたどりつき、
感染症を起こしたと考えられます。
馬の蹄、とくに後肢の蹄は心臓から遠く、
薬が行き届きにくいです。
蹄に外傷がなくとも、血行性に感染性蹄骨炎は
起こることがありますので、注意が必要です。
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