進化の証
これは何でしょうか。
日常的に馬を見る・触れる方なら、そういえばあるな、と思うかもしれません。
これは附蝉(ふぜん)というもので、どの馬にも全ての肢にあります。
「夜目」と呼ばれることもあります。
感触はやや硬く、ザラザラしています。
前肢なら腕節の内側の上、後肢なら飛節の内側の下にあります。
これは後肢の写真。
この附蝉は、親指の退化した痕跡といわれています。
現代の馬は中指だけで体を支えており、他の指は退化しています。
ウマの最も古い先祖とされている「ヒラコテリウム」は約5200万年前には生存していました。
体が小さく、キツネと同じような容姿をしていたようです。
そのヒラコテリウムは、前肢は指4本、後肢は指3本だったのだそう。
速く走るために体は大きく、肢は長くなり、指も退化して現代の馬へと進化していったようです。
この附蝉、セミが付いているように見えるため、この名前がついたそうですが…
遠めに見たらなんとなく、蝉が止まっているような雰囲気を感じる…気もしなくもない?ですね。
退化した痕跡ではありますが、この角質は成長し、どんどん盛り上がって、上に向かって伸びてきます。爪のようなものでしょうか。
年老いた乗馬なんかでは、まるで角のように成長したものを見ることもあります。
なんとなく気になるため、盛り上がっていたらつい毟ってしまったりするのですが、
馬は全く気にする様子もないため、爪と同じように、痛覚などは無いのでしょうね。
犬でも同様に、退化した親指である「狼爪」がみられます。
こちらも爪は伸びますが、他の指と異なり、地面に接触することが無いため、長くなったら切ってやらないといけません。
場合によっては、狼爪自体を切除してしまう場合もあるようです。
毟った附蝉と戯れるメッシ。
犬や猫は、このような附蝉や、削蹄した蹄の破片が大好きです。
齧ったり体を擦り付けたりして喜んでいます。
ペットショップに行くと、牛の蹄が犬のおやつとして販売されていたりするので、皆好きなのでしょうね。
野生の本能が刺激されるのでしょうか。
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