乳房炎
跛行したので診てほしい、と連絡があり、往診に向かいました。
3歳の牝馬。前日から跛行し、夜には体温39度(平熱は37度後半~38度前半くらい)だったとのこと。
往診時は平熱でしたが、馬房から出たがらず、痛そうに恐る恐る歩きます。両後肢に問題があるような様子。
しかし触診してみても、関節や腱に問題なし。少し大腿部の筋肉が張っているようですが、そこまでひどい跛行を呈するとは思えません。
横紋筋融解症??とも疑ったのですが、
乳房炎でした。
右の乳房が腫れています。乳房の頭側の大きな腫れの方は、炎症により生じた浮腫です。
触れると熱感があり、嫌がりました。
若い現役競走馬で乳房炎?!と驚いたのですが、まれにあるようです。
原因は、細菌の侵入。連鎖球菌やブドウ球菌などの感染によって起こるそうです。
獣医学生さんなら、牛の乳房炎の重要性は、授業で教わっているかと思います。酪農家にとっては頭を悩ませる問題の一つです。
搾乳の手順や、その際に気をつけることなど、国試のために必死で勉強したことを覚えています。
しかし乳腺も発達しておらず、乳頭口の大して開いていない現役競走馬で乳房炎というのは、初めてみた症例です。
細菌感染が原因なので、治療は抗生物質と、消炎剤の投与。
次の日。
腫れはありますが小さくなりました。また、浮腫は重力に従い、腹の下に降りてきています。
触るとまだ痛がりますが、昨日よりは歩きやすくなっています。
再度抗生剤を投与。
二日後。
腫れはかなり小さくなりました。触ると、少しですが痛がります。
浮腫はこの画像からは見えませんが、小さくなり、更に降りてきていました。
歩様も通常に比べると少し気になるそうですが、血行を良くし腫れを引かせるために、軽い運動を行いました。
ここで治療は終了。その後は特に問題無いようです。
跛行が見られた時には、肢だけでなく全体を見なければならないのだと、勉強になった症例でした。
・・・?!
(生きてます)
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