馬の瞳について
こんにちは。
今回は、馬の大きな瞳に隠された草食動物ならではの工夫について幾つかお話しします。
横長の瞳孔は馬の眼の特徴の一つと言えます。
広範囲に周囲を見渡すことのできる構造となっており、
敵の位置を素早く検知するためだとされています。
さらに、人の視野は、両目で約200°と言われておりますが、馬の視野はなんと約350°もあるそうです。
少し眼を動かせば、全周が把握できるということです。
写真ではっきりと写すことは難しいのですが、
馬の瞳をじっくり見ると、瞳孔の辺縁に「虹彩顆粒」と呼ばれる黒い粒があります。
光量によって縮小、拡大し、眼の中に入る光を遮ることで、
眩しい昼間でも、行動をスムーズに行うことができます。
また、暗闇でも素早く活動できるような仕組みもちゃんと備わっています。
脈絡膜に輝板(タペタム)と呼ばれる構造があり、光の反射板の役割を果たします。
射入してきた光を、眼の中で反射させることができ、その光は網膜の視細胞を刺激します。
つまり、少ない光でも増幅させることができるため、見易くなるということです。
この構造を持っている身近な動物がおります。
夜に猫の目が光って見えたことはありませんか?
それは、輝板に光が反射しているからなのです。
加えて、網膜に存在する視細胞にも特徴があり、光を最初に感知する杆状細胞が多く存在します。
これも、少ない光の中行動するための構造と言えます。
一方で、色彩に対する感度の高い錐体細胞が少ないため、色の判別は難しいとされています。
大きくて、キラキラしている眼は馬の好きな部位の一つでもあるのですが、
このように草食動物として生き抜くための工夫が、随所に施されている興味深い器官だと改めて感じました。
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