獣医になってはじめての見学
今週は、当院が関わっている馬が喉頭蓋背方変位(DDSP: Dorsal Displacement of the Soft Palate)の
手術を行うということで、NOSAIみなみの家畜高度医療センターへ見学に行きました。
DDSPについて簡単に説明すると、喉頭蓋が軟口蓋の腹側に変位するものです。
この状態になると正常な呼吸を妨げ、呼気時に「ゴロゴロ」や「ブルブル」のようなノド鳴りが起こります。
健常な馬でも首を頭側に伸ばした際にDDSPが誘発されることは頻繁にあります。
ですが、運動時や首を曲げた状態でも頻発している場合には、運動不耐性や呼吸困難を生じる喘鳴症の原因となります。
DDSPが正常な運動を妨げるのであれば舌縛りなどの対策、さらには重度であれば手術を考慮する必要があります。
そして、今回の手術内容は、喉頭タイフォワード手術(Laryngeal Tie-Forward Procedure)と喉頭ヒダ切除術でした。
喉頭タイフォワード手術は、喉頭蓋が腹側へ落ちるのを防ぐ目的で行われます。
甲状軟骨と舌骨底骨に縫合糸を架け、喉頭蓋を頭背側へ押し出すような力作用を加わえるものです。
(AUER&STICK EQUINE SURGERY FOURTH EDITION. P.584, FIGURE 44-24)
当院は一次診療施設なので、普段は手術を見る・実施することはありません。
今回の見学では、センターの先生方との多面的な会話によって知見を広げることができました。
私は学生時代、学外実習をするときに必ず守ってきたことは「問題解決のための質問をする」ということです。
獣医療に関するただの質問のほとんどは教科書に書いてあるので、聞く側も答える側も退屈でしかありません。
ですが、疑問に思ったことに対し、まずは思考して自分の中で仮の結論を出してから質問をする。
そうすることで会話が広がり、ちょっとしたディスカッションになります。
この学生時代からのクセは社会人になっても役に立つことを今回実感しました。
学生の皆様にもこのマインドセットを持つことをおすすめします。
獣医師は生涯勉強じゃき!
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