ワクチン、風土病

ワクチン、風土病

5-6月はワクチンの季節です。
 
5月はインフルエンザ・日本脳炎(基礎)・破傷風の3種混合ワクチン、
 
6月は日本脳炎(補強)・ゲタウイルスの2種混合ワクチンを使うことが多いです。
 
 
 
 
 
1971年、国内で馬インフルエンザが流行し、翌年に「軽種馬防疫協議会」が設立されました。
 
馬の伝染性疾病の予防・蔓延防止を目的として活動しています。
 
 
その軽種馬防疫協議会の報告によると、馬インフルエンザはフランス、オランダ、アメリカでは、2020年1-3月の間で既に発生しています。
 
 
海外からの輸入馬もみられる今、現在日本に存在しない疾病であっても、感染拡大を防ぐためにワクチンを接種することは大切なのです。
 
 
そして日本においては、馬インフルエンザは2008年以降、馬の日本脳炎は2003年以降発生していないようですが、
 
破傷風は毎年のように発生しているようです。
 
競走馬では、馬インフルエンザ以外はワクチン接種は絶対ではないのですが、日本脳炎・破傷風ともに恐ろしい病気なので、ワクチン接種をお勧めしています。
 
 
 
 
同じ報告を見ていると、「腺疫」の項目に、
 
「国際的に腺疫は多くの国で風土病である」
 
という記載がありました。
 
 
風土病とは、「特定地域に持続的に多く発生する病気。その土地特有の自然環境や生活習慣が関与する。」だそうです(三省堂 大辞林 第三版)。
 
 
 
 
腺疫は、連鎖球菌によって引き起こされる疾病です。
 
特徴的な症状は、顎下リンパ節の腫脹です。
 

(出典:腺疫(第3版)/日本畜産会)
 
 
他には、発熱、鼻汁、元気消失、リンパ節からの排膿がみられることも。
 
 
細菌感染によるものですが、抗生剤の全身投与には賛否両論があります。
 
リンパ節に膿瘍が形成された場合、その中心部にまで抗菌薬が到達しないとされているためです。
 
また、感染の進行による免疫刺激を妨げ、リンパ節肥大→破裂という病態経過を遅延させます。
 
これにより保菌馬となったり、重篤な症状を引き起こしやすくさせるとも言われています。
 
 
そのため治療としては、疼痛が強い場合には消炎剤を用いたり、温熱パックなどでリンパ節の排膿を促したりします。
 
ただし呼吸困難、高熱など重篤な症状が出た場合には抗生剤を使用することもあります。
 
 
アメリカやオーストラリアなどではワクチンが用いられていますが、日本では市販されていません。
 
また、100%感染を防ぐことはできないそう。
 
 
 
 
栗東では年に数回は診ており、また日高、関東の診療所でも治療を依頼されることはあります。
 
なので日本の、少なくともその3箇所では、それほど珍しくない疾病なのだと思います。
 
 
腺疫(第3版)(日本畜産会)によると、1992-2010年に腺疫の発生が確認されたのは北海道、福島、千葉、滋賀の4県。
 
 
ここ数年のデータが無く分からないのですが、これも風土病、と言っていいのでしょうか…?
 
単に馬の多い地域で見られているだけなのでしょうか。
 
 
 
 
 
 
 

 
遠巻きに鳩を狙うも、既に気付かれているメッシ。
 
 
 
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