たいせつな鼻のお話

たいせつな鼻のお話

今回、はじめてブログを書かしていただきます、

当プラクティスの新人獣医師 T です。

今週は馬関係者なら日々の管理で興味を抱くであろう、鼻の話をします。

 

 

Ⅰ. ) そもそもなんで鼻が大切なのか?

 

ウマは他の動物と異なり、口腔が胃のみにつながっている。

そのため、口呼吸ができない仕組みになっている。

なので何らかの原因で鼻腔が詰まると呼吸が苦しくなってしまう。

さらに悪いケースでは辛うじて呼吸ができる状態になってしまう。

 

 

Ⅱ. ) では、鼻腔が詰まる病気ってどんなものがあるのか?

 

『蓄膿症 Empyema』

 

副鼻腔炎や上部気道炎(鼻から咽頭まで)、歯牙疾患は放置すると、

副鼻腔の細菌感染またはこの部位へ感染の波及が起こることがある。

 

このような病気を蓄膿症といい、

軽度から重度まで、病状には大きく差がでる。

 

軽度な蓄膿症の多くは膿性鼻汁がみられるが、

悪化すると鼻汁も少ししか出なくなり、それらが副鼻腔に貯留する。

また、病状の悪化と相応して、徐々に呼吸がしにくくなる。

 

ウマは私たちのように鼻をすすって分泌物を口から吐き出すことをしないのかもしれない。

 

そのため、膿が徐々に貯まり内側から鼻の構造を圧迫した結果、

外観にも変化がみられることもある。

さらには、もう一方の鼻腔も狭くなり、さらに呼吸が苦しくなる。

 

このような状態のときに頭蓋骨をコンコンとノックすると、

物をいっぱいにいれた木箱に似た音が聞こえる。

 

 

 

このように蓄膿症の診断には

おもに飼い主の稟告、レントゲン検査、内視鏡検査が有用だ。

 

治療には抗生物質を用いるが、症状を改善できない場合がある。

 

その際に選ぶ手段として円鋸術というものがある。

 

これは、外側から鼻腔に向かって骨に丸い孔をあける外科手術である。

その孔を通して繰り返し鼻道を洗浄し、貯留している膿を抜く。

 

この治療には毎日やる根気強さが必要だ。

 

 

 

最後に、飼い主がやるべきことは、

結局のところ、言わずとも、

日常管理での状態チェックが最重要項目となります。

 

鼻はウマにとって代替不可能な呼吸の部位のひとつです。

 

上記のような病気の悪化で、

飼い主も馬も精神を削る思いで病気に向き合うことにもなりかねません。

 

顔面の腫れや鼻出血などの異常がみられたら自己判断でそのままにせず、

すぐにかかりつけの獣医さんにスマホから電話相談しましょう。

 

 

その行動が大切な愛馬との健康な生活へとつながるから。

 

 

T

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