馬のフケについて
最近、急に暖かくなってきましたね。
私は馬の獣医になってから、初めての夏を迎えようとしています。
この季節、競馬場へ行くと
「ちょうどレースの時にフケでさ」
と、いうような声を厩務員さんから聞くことがあります。
「フケ」とは、牝馬の発情のことを言います。
牝馬の発情期は、春先から9月頃までの数ヶ月間。
まさにこれからの季節ですね。
周期は約21日とされ、
5〜7日程度の発情期、約14日の無発情期を繰り返します。
発情期の牝馬は、
多くの場合、他の馬に対して過剰に興奮するようになります。
気性が穏やかな馬でも、威嚇したり、暴れたりするようになることもあるそうです。
発情の兆候として、
尾を左右に揺らしたり、後肢の歩様がぎこちなくなったり、
馬を引く人に執拗に甘えるような仕草をするようです。
身体所見として、
陰部の腫脹や、膣からの分泌物がみられます。
さらに、排卵時には痛みを伴うこともあり、
一見、疝痛を起こした時のような症状がみられることもあります。
海外では、発情による興奮に対して、「30日間トライアル」として、プロジェステロン合成剤の経口投与を30日間続けるという方法があるそです。(参照:Mares Behaving Badly:Is it Estrus or Something Else?)
日本でも、ホルモン剤の注射は行われているようですが、競馬場内では一般的に投薬による治療は行われておりません。
耳を横に倒し威嚇したような馬がいた場合、
怒っているだけなのか?恐怖や痛みによるものなのか?
あるいは、発情による興奮なのか見極める対応する必要があります。
稀に、フケによる興奮でレースを走りきり勝利する馬もいるようですが、
「できたらレースとは被らないでほしいな」と、
厩務員さんは言っておりました。
周期を計算し対策を考えたり、周りの環境に気を使いながら
夏が終わる間までは付き合っていくしかないのかもしれません。
この時期ならではのお悩みもありますが、
初夏ならではの美味もあります。
先日、厩務員さんからいただきましたこちら
九十九里で採られた「白子玉ねぎ」です!
肉厚で甘みもたっぷり、バターをのせて温めただけでとても美味しくいただけました。
Y