頸部レントゲン
最近、頚のレントゲン依頼が数件ありました。
頚のレントゲンは、腰萎(ウォブラー症候群)の疑いがある場合で
撮影依頼されることがほとんどです。
ただし、フィールドでの撮影、我々が持つポータブルレントゲン発生装置
では限界があり、確定診断はできません。
確定診断前のスクリーニング検査と考えてください。
今日はウォブラー症候群について…ではなく
頚のレントゲンの撮り方です。
馬に鎮静剤を投与して、首がまっすぐになるように保定してもらいます。
鎮静剤を使うのは、馬ができるだけ動かないようにするためです。
頸部は、筋肉が下肢に比べて分厚いので、レントゲンの照射時間も長くなります。
馬が動いてしまうと、ブレの原因になります。
また、馬の頭が下がると、レントゲンを照射する側も楽になります。
(ポータブルのレントゲン照射装置は結構重いのです…)
センサー板(カセッテ)の場所は、下図のようになります。
第2頚椎(環椎)翼が触知できますので、そこを目印にします(図の中の赤丸)。
そこから、板を半分ずつずらして順番に撮っていくと、どこを撮っているのか、
わかりやすいです(図の1→5)。
頚椎の位置は、頭に近い方は首の上の方ですが、
肩の方へ近づくにつれ、真ん中あたりになっていきます。
頚椎がどこにあるかをイメージしながら撮影しています。
第1頚椎(C1)から第6頚椎(C6)まで、ポータブルでも撮ることができます。
頚椎に骨折などないか、確認することができます。
上のレントゲン写真では、C4ーC5の位置が少しずれているのが確認できます。
さらに、頚椎管のサイズをレントゲン読影用のソフトを使って計測します。
上のレントゲン写真では、C4の頚椎管サイズが他と比べて少し狭いことがわかりました。
しかし、本当に脊髄の圧迫が起こっているかどうかは、
造影剤を使用して、大型レントゲン装置で撮影しなければ確定できません。
我々が行えるのは、あくまでもスクリーニング検査なのです。
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