リンパ腫
リンパ腫とは
リンパ節・脾臓・腸管関連リンパ組織などのリンパ組織
から発生する造血器系腫瘍です。
馬の造血器系腫瘍の中では最も一般的で、
品種・性別・年齢関係なく発生します。
危険因子は特定されておらず、
また遺伝的素因も無いとされています。
症状は、
体重減少・沈鬱・無気力・体壁腹側面もしくは肢端の浮腫
回帰熱・末梢リンパ節も侵されていれば リンパ節の腫脹
などは認められることが多いものの、
罹患している臓器・程度などによって異なります。
検査としては、
・身体検査
・直腸検査
・胸腔及び腹腔の超音波検査
・血液検査(貧血は多くのケースで見られる)
・可能であれば、リンパ節などの吸引穿刺もしくは生検
が挙げられます。
「ちょっと調教するとすぐ39℃くらいの熱発する。
少し休めば落ち着くけど、調教するとまた熱発して…調教が進められない。」
という相談を受けたサラブレッドの1歳馬がいました。
初診時 39.5℃の熱発・重度の貧血(Ht10-15%程度)・下痢の症状を示し、
その後 徐々に状態が悪化、
死亡後に剖検したところ、
消化管の粘膜及び漿膜面に結節状に腫瘍性のリンパ節が増殖しており、
最終的に病理検査を行って、
消化管型、T細胞性リンパ腫と診断されました。
(注:以下解剖の画像です。)
一般に馬のリンパ腫は
特徴的な臨床症状が無いことから 診断が遅れることが多く、
そもそも経済動物の側面が強い馬に対しては
寛解が見込めない治療は 選択しないというのが現状のようです。
現役競走馬は 基本的には健康なアスリート達なので、
普段の診療ではほとんどお目にかかることはない疾患ですが、
現場の限られた環境の中でも、
きちんと診断していける知識を身に着けて置かなければいけないと
強く感じた症例でした。
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