蹄葉炎について – その1 –
日常 馬の管理において 非常に重要な部分である蹄、
今日は その中でも 蹄葉炎について 簡単にお話したいと思います。
その昔 ウマの肢は、
走行時の衝撃や地面との摩擦によるダメージを防ぐため、
ヒトで言えば爪に相当する 角質部分が発達し
指先をカプセル状に囲うように進化して “蹄”となりました。
蹄の中では、骨と角質部分が 葉状層と呼ばれる
“マジックテープ状の組織(*)”によって くっついています。
蹄葉炎は、
負重性・代謝性・産褥性など様々な原因があるとされていますが、
簡単にいうと マジックテープの部分に炎症が起きて、
角質部分から骨が剥がれてしまうのです。
X線画像で得られる所見からは、
ローテーション型 と シンカー型の2つに大別されます。
ローテーション型では、蹄骨の尖端部に 骨の変位が見られます。
蹄の反回によって 蹄先端部に物理的負荷がもっともかかることと、
蹄骨掌側の突起に深指屈腱が付着しているため、
このような変位が起こるのです。
シンカー型はより重度で、
蹄全体で炎症が起き 剥がれて 蹄骨全体が沈下します。
また血管造影によって、血流の状態を確認することも可能です。
もしX線検査で異常が認められる状態であれば、
水冷などはする必要はないとされています。
蹄用のサプリなども ありますが、必要なことは、
「蹄のメカニズムをきちんと理解し、
検査などで状態を正確に把握した上で、
装蹄療法を中心とした 治療を行うこと」です。
それぞれの病態にもよりますが、
進行すれば命に関わる状態にもなりうる疾患です。
早期に発見して治療に当たることが重要です。
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