眼の傷と血清点眼液
今日は馬の眼の傷について、お話しします。
馬が目をショボショボさせたり、普段より涙を多く流したり、
黒目の一部が白くなっている等の症状から、
「あれ?目がヘンかな?」と気づくことがあります。
そういった場合、調教中に砂が目に入ったり 馬房内で顔をこする等して、
眼の表面を傷つけてしまっているのかもしれません。
黒目の表面の傷であれば、専用の染色液を使って簡単に確認することが出来ます
(写真:黒目の黄緑色の部分)。
一般に 血流のある組織では、様々な因子を血流に乗せて運んで、
傷を治すよう周辺の細胞に働きかけます。
しかし 黒目の表面を覆う角膜は、視覚を確保するため 血管の無い組織です。
傷が治るのに時間がかかると、その分 感染の危険性も高まります。
そのため 角膜の傷には、血液から点眼液(血清点眼液)を作成・点眼し、
それらの因子を外から補うことで、傷の治りを早める効果が期待できます。
血清点眼液は、馬からまず採血をして、
遠心分離にかけて血清を分離してから、点眼用抗生剤と混ぜて作成します。
点眼液は 時間が経てば涙と一緒に流れて行ってしまうので、
1日6回を目安に 頻回に点眼する必要があります。
また血清点眼液は冷凍保存が可能ですが、
雑菌繁殖や因子の効果が無くなってしまう可能性があるので、
一度解凍したら冷蔵保存をし 1週間で破棄するようにします。
眼の傷は早期に発見して適切に対処すれば、大きな問題にならずに済みます。
少しでも異常を感じたら、早めに獣医さんに相談しましょう。