去勢の影響について (3)

去勢の影響について (3)

去勢のお話、最後は「去勢をする時期」についてですが、

教科書的にはだいたい1歳くらいと言われています。

 

理由は、まだ精巣も比較的小さくて、その周囲の組織(血管や精管)

も未発達なので、切除しやすく術後の出血リスクも少ないからです。

海外では、ブレーキングの後に(少し馬が扱いやすくなってから)

実施するところも多いようです。

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「家畜比較解剖図説」

 

 

精巣から分泌されるホルモン(テストステロン)には、「成長を促進する」

と同時に「成長板(骨端)を閉鎖させる」という作用があります。

 

通常、体の中心から遠い部分からだんだん「骨の成長」が止まっていくのですが、

例えば腕節の骨(橈骨遠位)では 24ヶ月齢前後でレントゲン的に閉鎖します。

 

骨が未熟なうちに強い調教をしてしまうと様々な障害が発生することから

定期的な検査をしながら骨の状態に合わせて調教する牧場も多くなっています。

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去勢の話に戻りますが、早期に去勢してテストステロンが少なくなると、

成長板の閉鎖が遅くなって体高が高い馬になると考える獣医師も多いようです。

 

「体高は遺伝的に決まるものだから去勢はそれほど影響しない」という意見や

「成長板がなかなか閉鎖しない馬でも体高が低いものがいる」という経験則もあり

結論は容易に出せませんが、馬を早く仕上げなければならない日本の競馬界では

去勢の影響で成長板の閉鎖が遅れてしまうのは、好ましくないかもしれません。

 

長いお話になってしまいましたが、去勢は「前駆の負担」が大きくなってきたら、

その馬の「骨の成長」を考慮しながら、実施するのがよいのではないでしょうか。

 

 

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メッシは「わたし女の子だから関係ないけど〜」と言っておりますが・・・(^ ^;)

 

 

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