去勢の影響について (2)
前回に引き続き「去勢の影響について」獣医師の立場からのお話です。
子馬(牡)は成長するにつれて、精巣が発達していくと
精巣からの「テストステロン分泌量」も増えていきます。
すると、このホルモンの働きによって、子馬の体つきは
少しずつ「男らしく」なっていきます。「第二次性徴」ですね。
具体的には、頸が太くなり、筋肉も増えてガッチリした体型になります。
一般的に、馬は体重の60%くらいを前肢で支えていると言われます。
上の写真のように子ども体型のときには全く問題ないことですが、
頸が長く太くなり、筋肉も発達していく中で、前肢の負担が過剰になり
「競走馬としての理想体型」から遠くなってしまう個体も・・・。
ご存知の通り、トップスピードで走る競走馬にとって「前駆が重すぎる」のは致命的です。
なので、日本ではあまり考えられていないことですが、海外で競走馬を去勢する時、
その第一の目的は「性質を扱いやすく」することではありません。
去勢によって精巣からの「テストステロン分泌量」を減らして
バランスのよい体型にするという、いわば「戦略」のひとつなのです。
また、去勢をする理想的な時期は「1歳」と言われていますが、
このように早期に去勢した場合には、「体つき」だけでなく
「体高」にも影響があるのではないか、という考えもあります。
・・・去勢にまつわる話がたくさんありすぎて、長期連載になってますが(汗)
次回は「去勢をする時期」について、またお話を書いてみようと思います。
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